クーラーがついたとしても、暑いものは暑い。
「あー・・・あぢぃ」
学園への通学路を歩きながら、うだるような暑さには項垂れた。
こんな暑さなら溶けそうだな、アイスみたいに・・・
「有難う御座いましたー」
アイスという単語に惹かれ、気づけば近場にあったコンビニで買っていた。
「シャリシャリ君、ナッポー味出てたのか・・・」
封を開け、取り出した棒アイスをかじるとシャリ、と冷たさと共にパイナップルの味が広がる。
これで少しは暑さも和らぐかもしれない、と思ったその時だった。
「っ、やめてください!」
目の前で若い女が数人の男達に追われていた。
P.06 夏になるとうざったい奴等が炎天下の中を飛び回る
それは渡ろうとしていた横断歩道の前で起こった。
数人のワルそうな男達が女を追いかけ、女はサンダルのまま横断歩道の前で立ち止まっている。
緊迫とした雰囲気が流れる中、は再びアイスを口に含む。
半溶けしているがアイスはまだ冷たい。
すると、男の一人が女の腕を掴み奥へと引っ張り女の身体を壁に押し付けた
声は聞こえないが女は必死そうに男のほうへと声を飛ばしている。
だが相手は女の言い分に苛立ちを見せたのか、男の一人がズボンのポケットからナイフを取り出した。
それにはすぐさま走り出す、偶然信号も青へと変わった。
「っ、待てコラアァアアア!!」
そのままナイフを持った男のほうへと溶けかけている棒アイスを投げつける。
ちょうど振り向いた直後だった為、アイスは見事に顔面へ直撃し男はしゃがんだまま悶絶していた。
「あ、間違えてアイス投げちゃった。もったいね・・・」
「何者だ貴様!?」
すると他のメンバーも気づいたらしくいっせいにの方を向く。
「何故我々の邪魔をする!?」
「・・・今、あんたらがしようとしてた事を止める為だよ」
女の人に何かしようとしてただろ。
そう言ってアイス男のほうを指差した。
「だからさっさと離せよ、その人」
「っ、やってしまえ!!」
リーダー的な男の声で他の男達がのほうへと向かってくる。
「ったく、夏になるとウザイ奴が増えるよなぁ・・・」
はぁ、とため息をついた後は男のほうへと走った。
最初に向かってきた男には腹蹴りに一本背負い、次は蹴りのコンボ、最後はアッパーと頬に右ストレート。
それは初心者とは思えないほど鮮やかな技だった。
3人のチンピラは途端に倒れ、後残っているのはアイス男とリーダーのみ。
「・・・もう終わり?」
「「っ、ひいぃいい!!」」
二人とも一目散に逃げていった。
「よし、終わり!」
そう言ってパンパンと手を払う。
「あ、有難う御座います・・・」
「いえいえ、気にしないで下さい。こんなの姉との喧嘩よりはましですから」
実を言うと先ほどの喧嘩殺法や柔道など武術関係は全て姉・赤梨から習っていた。
「じゃあ、うち行きますね」
「あ、あの!」
「?」
「・・・あ、いえ・・・有難う御座いました」
そう言って女は去っていった。
「?何だったんだろ・・・あ!やばい!時間が!!」
「二度目の遅刻、それに理由は『女の人を男達から助けて遅れた』?」
「・・・すみません、ギリギリ間に合いませんでした」
あの後、寸前まで走ったが結局遅刻になりは雲雀に応接室へ呼び出されていた。
「それ、本当なの」
「え?」
「嘘だったら咬み殺すけど・・・君、よく見たら服が少しボロボロだね」
「あ、まぁ・・・」
その言葉に雲雀ははぁ、とため息をつくとの頬へと手を添え優しく撫でた。
それにはビクッと肩を震わせる。
「傷はついてないみたいだね」
「え、あの・・・」
「不満?」
「いや、そうじゃなくて・・・何でもないです」
そう言うと雲雀は気にせずに続ける。
・・・何か、雲雀さんに撫でられると背中がぞくぞくする・・・
撫でられる以外にも雲雀に触れられると、いいも背中に悪いも言えないゾクゾクッとした感覚がするのである。
だが、どこか満足そうな雲雀には言葉を押さえた。
すると、
「ヒバリ!ここにはいないか!?」
バン!という音と共にクラスメイトであり友人である西園寺美弥が応接室に入ってきた。
「あ・・・」
「!そこにいるのだ、な・・・?」
たちがいたのは応接室扉から見えるソファの上。
美弥は雲雀がの頬を撫でているのを直接見てしまっていた。
「・・・ヒバリ貴様あぁあああああ!!」
その光景に美弥はキレだし、銀の細剣を取り出し振り回した。
「ちょ、美弥!落ち着いて!!」
「何、ああ・・・君か」
「貴様ぁあ!今に何をしていた!?」
「何って、頬撫でてただけだけど。に傷でもついていたら困るからね」
「言い訳は、私と戦った後にしろ!!」
「へぇ・・・やる気?いい度胸だね」
そう言って雲雀は仕込みトンファーを取り出す。
「ちょっと!やめてくださいよ!!雲雀さんも美弥も落ち着いて!!」
「今、こいつを咬み殺さないと気が済まない」
「私も同感だ、貴様などにを奪われてたまるものか!!」
「は君のじゃないでしょ」
「お前のものでもないだろう!」
「「・・・は僕(私)のものだ」」
「あ・・・もうだめだ、とめられない」
一方白熱している二人のバトルには半ば諦めかけていた。
すると、ギィと少しだけ応接室のドアが開く。
二人はバトル最中の為気づくはずもなく、はドアの方へ目線を向けた。
暗闇でよく分からないが手らしきものは手招きしているように見える。
は二人のほうを一瞥した後、その手招きに応じるように外へと出た。
「よ、危なかったな!」
「え、山本先輩・・・?」
そこにいたのは野球部のエースで人気者である先輩・山本武だった。
一年の中は彼の噂で持ちきりだった為、も度々名前を聞いた事があるだけだった。
「お前だろ?って」
「・・・何でうちの名前を?」
「いや、二年のほうでも噂になってて
遅刻して応接室に呼び出されてるって聞いたから来てみた」
それにしても、会えてよかったのな!
そう言って山本は笑みを見せる。
爽やかスマイル、とこの笑みの事をクラスメイトがそう呼んでいた気がする。
確かにそうかもしれない、とは思った。
「それにしても、助けてくれて有難う御座います。・・・あの場から早く抜け出したかったので・・・」
「いいって!それよりも教室急いだほうがいいぜ」
「あ、そうですね。有難う御座います!!」
はそう言って山本の前から走り去った。
「・・・思ってたより、可愛い奴だな!」
助けた甲斐があった、と山本は思いながら応接室前を後にした。
「あ、ちゃんお帰りー」
「ねぇねぇ、机の上にこんなの置いてあったよ」
クラスメイト達にそう言われ机の上を見ると、そこには折られた一枚の紙があった。
『今朝助けてくれた子へ
御礼がしたいので、10時に近くのボーリング場に来てください。
今朝の女より』
「・・・滅茶苦茶怪しいんですけど」
ベタな罠あり手紙には冷や汗をかく。
「でも・・・行くしかないか」
「おーい、来たぞ」
はそのままボーリング場へと足を運んだ。
思っていた通り、と言えばおかしいがやはりそこは数年前から廃止しているボーリング場だった。
だが、そこには誰もいない。
「場所間違えたのかな・・・?」
そう言いながら振り向くと目前に振り下ろされたバットが目に入った。
ガァン!
その瞬間、意識は薄れていった。
A*to*ga*ki*
まとまりのない+改行が無駄に多い六話。
何故あそこで山本が出てきたのか管理人にも分かりません(ぇ
ただ単に出したかっただけか?(知るか
初の続き物ですが、ギャグ中心なのに無駄に戦闘シーンらしきものが入ってきます。
血とか色々駄目な人は要注意・・・かもしれない(何