久しぶりの日本、そして帰国。




「本当に、久しぶりだな・・・」
二日後、は空港から出て並盛町へと足を止めた。
その懐かしい風景を見てそう呟いた後、ふわぁと欠伸をこぼした。


がいない!?」
そんな頃、イタリアでは夫妻が血相を変えてを探していた。
「もう!あなたがあんな事言うから!!」
「俺のせいじゃないだろう!!」

「どうかされたのですか!?」

再び口論モードに入りそうだった夫妻の前に小学生くらいの少年が現れる。

「あら、フランツ君・・・」
夫妻は少年の姿を見るなり動きを止めた。
「奥様、そんな怖いお顔をされて・・・一体どうなさったんですか?」
少年・フランツは少年らしくない口調で美恵子の顔を心配そうに見上げた。
彼、フランツ・アルフェルトは大富豪として有名であるキルエ・アルフェルト直々のご子息であり、
家のお隣さんでもある。
良く彼は家に遊びに来るのでたちとも面識があった。
「えっ、お嬢様がいなくなられたのですか!?」
お嬢様、というのはの事で礼儀が正しいのか美恵子の事も奥様と呼んでいる。
「それは大変ですね・・・」
「そうなのよ、まぁ原因は分かってるけど」
そう言って美恵子は鋭く真泰を睨む。
真泰はそれに一瞬怯むもコホン、とわざとらしく咳き込んだ。
「フランツ君、君にはお願いがある」
「何ですか?」
を連れ戻してくれないか?」
「えっ?」
「ちょっと!あなた、何言ってるのよ!?」
美恵子の怒声を真泰は聞かない。
「君にしか頼めない事なんだ、私も家内もこの家を出るわけには行かない」
それに、
そこで言葉を切ると、真泰はフランツに静かに耳打ちをした。
「・・・何?」
真泰の声は小さく、美恵子の耳には届かない。
「・・・分かりました!場所はどこですか!?」
「並盛だ、後のことは全て君に任せる。一応が学校へ行く事も想定しておいてくれ」
「はい!じゃあ行ってきますね!!」
そう言ってフランツは元気よく玄関から出て行った。
「・・・何を言ったの?」
「あの子、が好きみたいでな」
「え!?」
「少し遊んだだけだ、」
まぁ、後でわかるだろうな。
真泰は意味深に笑った。



「っ、くしゅ・・・」
一方、日本・並盛町を歩いていたは小さくくしゃみを零す。
よくくしゃみが出ると誰かが噂をしていると言うが、それがイタリアにいる両親だとは思わないだろう。
「早く京子の家、探そう・・・」
実際、久しぶりすぎる並盛町の中では迷っていた。
今日は土曜である為、出かけていたりしない限りは家にいるはずなのだが。
「どこだっけ・・・?」
五年前も昔に離れた並盛だったが、その風景は相変わらずだった。
という事は、笹川家の場所も変わっていないだろう。
そう考えたは昔の勘を頼りに歩き出した。


「・・・あった」
そうして見つけた一軒家には「笹川」という標識がかかっていた。
ゆっくりとインターホンを押し、ふわぁと欠伸をこぼす。
すぐに小柄で可愛らしい少女が出てくる。少女はの顔を見るなり目を見開いた。
暫く様子見した後、は呟くように言った。
「久しぶり、京子」
すると、京子の驚いた顔はすぐに嬉しそうな顔に変わりこちらに向かってきた。
ちゃん!」
急に抱きつかれ、は驚きながらもちゃんと受け止める。
「久しぶり、ちゃん」
「うん、」


「あいつは・・・?」
「お兄ちゃんは今部活でいないんだ」
「部活?・・・ああ、」
確か電話で兄・了平はボクシング部に入っていると聞いていた。
「ごめん、急にお邪魔する形になって・・・」
「いいよ、電話で部屋は空いてるって言ったでしょ?」
そう嬉しそうに京子は笑う、体格や身長は変わってもその笑みは変わっていなかった。
「そういえば美恵子おばさんたちは?」
「今回は・・・俺一人で来たんだ」
「え・・・?」
「日本が・・・並盛が恋しくなったんだ」
だから、それ以外は何もないよ。
そうが薄く笑うと京子も笑みを零す。
ちゃんらしいね」
あ、そうだ。

「お帰りなさい、ちゃん」

その言葉に、本当に並盛に帰ってきたのだとは改めて感じた。



02:帰国と変わらぬ風景




A*to*ga*ki*
2話目。帰ってきた夢主。
夢主と京子ちゃんは仲良しです。